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『朽ちていった命』

先日ご紹介した『共震ドクター』に続き、あっという間に読んでしまった1冊。

1999年9月に起きた、茨城県東海村での臨界事故で被曝した作業員の治療記録…というか、見る見るうちに状態が悪くなって、最後に亡くなるまでの記録なので、かなり凄絶です。末期がんの治療とかもそうですが、医師はどこまで手を差し伸べればよいのだろうと、考えずにはいられないドキュメンタリーです。

もし自分が患者だったら、あるいは身内が患者だったら、ここまでしてくれなくていいから、もう早く逝かせてくれと(私だったら)思ってしまうけれど、医者というのは、これをすると患者の命が縮まる、ということを絶対にしない(できない)人たちなのですね。管だらけになろうが、意識があろうがなかろうが、とにかく患者を生かそうとする。良い悪いではなく、医者というのはそういうものなんだ、ということを初めて理解しました。

私は基本的には医者嫌いですが(注;必要があればもちろん医者にはかかりますよ。ただ絶対視はしていないというだけで)、この治療に関わった医師や看護師さんたちは、本当に大したものだと思いました。みなさんそれぞれ悩みに悩まれた様子もよく分かりましたし、絶対に助かる見込みのない患者さんを相手に、少しでも前向きで明るい雰囲気を作ろうと尽力される姿には、本当に頭が下がります。

それにつけても恐ろしいのが、放射線。
これまでに読んできた何冊かの本にも書いてありましたが、被曝したことによって染色体がずたずたに破壊されてしまうため、新しい細胞が作られなくなります。たとえば、ふつうだったら古くなった皮膚がどんどん剥がれ落ちていくとともに、下からは新しい皮膚が生まれてくるはずなのに、古い皮膚はどんどん死んでいくにもかかわらず、新しい皮膚が生まれてこない。
皮膚にはもともと体内に水分を保つ機能がありますが、それがなくなってしまうため、リンパ液が体中から染み出してきます。後半になると、下血も含めて1日10リットルもの水分が体の外に出ていくようになったそうです。

…といったように、医療スタッフにとっても、患者さん本人にとっても、非常に壮絶な闘いであり、その記録なわけですが、改めて「生と死」について考えましたね。
私は割とふだんから「死」についてはふつうに考えている方ですが、この本の中でも、関わった看護師さんが、「いつも、どういうふうに死にたいのかとか、みんなもっと考えてもいいんじゃないでしょうか」って話されていました。

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