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『心という不思議』

春日武彦さんの著作は、前に『不幸になりたがる人たち―自虐傾向と破滅願望』(文春新書)というのも読んだことがあります。

今回のもそうですが、けっこう身近な、というか、誰の心にも潜んでいるちょっとした“悪魔(みたいなもの)”に目を向けさせてくれます。

でも、誰でもこうなる可能性がある、と思わせられる点ではコワイ本です。

もともとは産婦人科だったのに、「大人になれない未熟な親」があまりにも多く、うんざりした挙句に精神科医に転向した、という経緯がいきなり冒頭から語られているんですよ。A^^;

さまざまな臨床例を挙げつつ、ご自身の内面についても、かなり臆面なく語られていて、共感する部分も多かったせいか、あっという間に読み進んでしまいました。もう残りはほんのちょっと。

心の病の「重い・軽い」についての見解が面白くて、医者から見ればずいぶん重い病状であっても、当の本人は治療なんてまっぴらだと思っていることもあれば、入院や強い薬を用いる対象ではないと思っていても、当人の苦しみや不安が想像を絶する場合もある、と。
確かに、なまじマトモな判断力が残っているばかりに、かえって苦しいということは往々にしてありますよね。分からなくなっている方が、本人にとっては楽であり、ある意味しあわせであるといえます。

それからもうひとつ。
「それぞれの医者にはそれぞれ特有のトーンを持った患者さんが集まる」という話。開業医としてではなく、精神科医としてある病院に勤めているような場合に、外来で患者さんを機械的に振り分けていても、なぜかそういう結果になっているという不思議。以下引用。

「担当医の人柄や理念といったものに影響されて治療を受ける側に一定の色合いが出てくるのなら、分からないでもない。しかしそもそも最初から、Aという医者ならAに似つかわしい患者さんが集まってくるように見える」

これって完全に、私たちの仕事と共通しています。
精神科でもそうなんだ~、と興味深く読みました。

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コメント

なるほど…、納得、納得です。
確かに、親子関係も師弟関係も、職場の関係も、
なるべくしてなっているように思えます。
引かれ合う??ようになってるんですかね…。

でも、似つかわしい…というのは
とっても嬉しいときと、複雑な…ときがありませんか?

★てんこさん
複雑なとき、ありますよねぇ。
自分が呼んでるのか!?とか思ったり。A^^;

ただ、師弟関係、職場の関係は納得するのですが、親子関係というのは、それとは若干違うような気がします。
「子どもは親を選んで生まれてくる」という言い方がありますが、親子関係の場合、それも含めて(これもまぁよく言われることなんですが)この世でクリアしなくてはならないテーマがあるように思います。
・・・ああ、でもそれは、うまく行ってる親子にはまったく関係ないですね。また自爆(>_<)

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